情報がホームページ主体であり、ホームページを作れば、「あとは勝手に見てください」となる。
しかし、ポストペットやゲームなどのようにアプリケーションソフトを開発するものは、すぐに一億円程度になる。
結局、経費だけ見ても決定的な事業成否の判断の材料にはならない。
問題なのは、どれだけの会員を獲得できるかであり、コンテンツのおもしろさが鍵を握る。
「当社の場合は、会員を増やすための無料サービスを抱えつつも、コンテンツグループ全体として黒字ベースを目標にしており、実際、その通りになっています」(藤乗氏)今後の課題としては、きちんとした事業の評価体制を作ることである、という。
コンテンツ自体の売り上げを評価するのが基本だろうが、同社の場合、無料のコンテンツでも会員の増加に寄与すれば価値はあるからだ。
つまり、大きく二つの評価軸があるが、何を比較対照軸にしてコンテンツを評価すればいいのかは一概にいえない。
しかし、今後はコンテンツの評価を確立していかないと、コンテンツの数ばかりが増えていくことになる。
もちろん、コンテンツの内容について見直し期間が設定されている。
一ヵ月では反応が出ないので、今後は三ヵ月から半年の間で見直しが行なわれるだろう。
「たしかに、ビジネスとして個々のコンテンツを見れば、採算が取れていないものもある。
むしろ近い将来のビジネス化に備えて、高いクオリティのものを今後も備えておきたい、という方針です。
ただし、プロデューサーとしては、一年間で黒字転化というのが目標になっています。
ほかのビジネスのように、三年後まで、などという時間はない」(藤乗氏)法則6‥ビジネスの秘訣は。
コミュニティ”を作ることコンテンツビジネスを企画・立案し、コンテンツの準備ができたとしても、ビジネスのポイントとして、ターゲットとなるユーザー層をどう広げていけるかが問題だ。
ソネットのユーザーの中心は二〇〜三〇代が中心なので、「いまはそれ以外の世代のユーザーに対して、しかも、ターゲットを絞り込んだ形でコンテンツを考えていくことを考えています」(藤乗氏)。
たとえば、女性向けのコンテンツ「カーラーカリーナ」は、ソネットがオリジナルで作っている。
女性向けの情報サイトを見ると、そのもとは出版系のコンテンツを用いていることが多い。
ただ、現状では各出版社がどのようにインターネットで展開していくのか不明確な部分がある。
出版社が積極的にどう展開していくか、そのノウハウを含めて体制作りもできていないからだ。
また、ソネットでは雑誌とまったく同じものをインターネットで展開するよりも、雑誌とどのように住み分けるかがポイントだと考えた。
その一つの手法が、インターネットならではの双方向性を生かす形である。
言い換えれば、どのようにユーザーとのコミュニケーションを作っていくかということである。
単純に記事だけを持ってくるのでは、本や雑誌のクオリティにはかなわない、と藤乗氏はいう。
「基本的には転送スピードの問題が一番大きいですね。
たとえば、ファッション系のコンテンツをやる場合は写真のクオリティが異なるだろうし、同じだけのクオリティを実現しようとすると、ブラウザに映るまでのダウンロード時問が長くなる」そこで、そうした部分を補う形で取られる手法が、ユーザーから反応を得られるような情報を流すことである。
たとえば、「今回の号の最新のファッションの中でお好きなものを選んで」などである。
もしくは、「こんな着こなし方はどうですか7・」といった感じだ。
後者は、この提案に対して、ユーザーからの反応が掲示板に返る。
こうしたユーザーに電子メールなどプッシュ型のメディアで新しい情報を送り込んでいく、という新しいアプローチの可能性も考えられる。
電子出版の中でもコアな層から受けているのが「SFオンライン」である。
これはPDF形式でSF小説をダウンロードできるコンテンツサイトである。
SFオンラインの場合は、ソネットが直接、小説家からコンテンツを買う形になっている。
数千人というレベルのコアなユーザーをターゲットにしているため、小説家のギャランティーは印税ではなく、原稿料という形で支払っているのだ。
「現状の市場規模では、原稿料という形でお支払いしたほうが、作家にも支持されやすいようです」このサイトでの一つのポイントは、ユーザーが参加できる「場」を設けていることだ。
オンラインで読者投票をする企画は、その典型的な例である。
コアなユーザーほど、自分の意見をぶつけていきたいものだという。
しかし、考えてみれば、コンテンツビジネスを支えているのは、基本的に「コアな層」なのだ。
雑誌やアニメ、出版、音楽、どれにもコアな層が存在し、収益を支えている。
デジタルコンテンツは新しい世界なので、「これまでこんなことはなかった。
だから、どれだけの人に支持されるのか」となる。
そういう場合は、インターネットでユーザーとコミュニケーションしながらコアな層を作っていけばいいのである。
法則7一コンテンツビジネスは役割が。
分業化”していくソネットはポータルサイトらしく、さまざまなコンテンツを提供しているが、先に触れたように、ヒ割は外部の持ち込みコンテンツである。
つまり、この部分ではソネットは「流通業者」という役割に徹している。
コンテンツをインターネットを使って配信し、課金処理によって、ユーザーから料金を回収する。
ソネットがコンテンツの制作をしているもの、つまり、コンテンツホルダーとコンテンツプロバイダーとを兼ねられるのは全体の三割だ。
これは、コストと人的な資源の問題だ。
ソネットの場合は、グループ企業内にコンテンツを持っている会社がある。
「グループ企業との連携でビジネスモデルを作ってしまい、それをほかのコンテンツプロバイダーとの間でも展開していくわけです。
ノウハウがこちらもわかりますから」(藤乗氏)。
たとえば、音楽配信がその一つの例。
潟\ニー・ミュLソックェンタテインメントでは、九九年から「B・ltmus・Ic」のサイトで音楽シングルのダウンロード販売を行なっている。
このサイトのサーバーの運用、課金システムの制作はソネット側で行なっている。
サービス型のコンテンツでは、今後こうした形が増えてくるだろうという。
このように、一つのコンテンツ配信の中にも、さまざまな業態・業種がある。
そうした流れの中で、コンテンツホルダーとソネットやニフティなどの流通業者の間に『卸売業者』として介在しようというのが、凸版印刷の「B・ltway」である。
もともと凸版印刷は歴史的には「コンテンツパラダイス」という配信事業をパソコン通信の時代から行なってきた。
凸版印刷は印刷業界では大日本印刷と並ぶ大手である。
「当時はインターネットは無料の情報ばかりで、有料は売れないよ、という時代でした。
集客のための”無料コンテンツ時代”ですね。
それによって、集客力重視の運営がなされました。
その意味では、出版業界系でいえば、どの会社も広告を取るから、とコンテンツを無料にしていたわけです。
しかし、私どもはコンテンツビジネスを扱う出版社さんと関係が深い。
そこで、有料で売っていくというスタンスをしっかりと持ったシステムを築こうとしたわけです。
集客力重視のサイトと融合したわけですね」
『B・ltway』の最大の特徴は、「ネット上のインフラ」に徹していることである。
これまで説明したコンテンツビジネスは、クリエイターまたはコンテンツホルダー↓コンテンツプロバイダー↓流通業者という流れであった。
電子書店パピレスの電子書籍をおさらいすれば、作家(クリエイター)↓パピレス十出版社(コンテンツプロバイダー)↓ニフティ、ビッグローブ(流通業者。
課金をする)と流れた。
「B・ltway」がユニークなのは、コンテンツプロバイダー↓流通業者の間に入る「卸売業者」であることである。
インターネットの場合、クリエイターやコンテンツプロバイダー(出版社など)は、たとえば自分のところで集めた作品を、自社のホームページや複数の同業者が集まった「モール」でユーザーに販売することが多い。
ユーザーはホームページで商品を見てダウンロードするなどして購入する。
)見、ユーザーから見ればコンテンツプロバイダーから直接買ったように思えるのだが、ユーザーに見えないところで課金などを担う流通業者がいるわけだ。
「B・ltway」は、さらにその流通業者の「川上」に位置する存在であり、われわれユーザーの目には見えない存在である。
「でも、デジタルコンテンツの中では、凸版さんの。
Bitwav心が、写真集系では一番強いですね。
出版社とのつながりもあるし、印刷会社の立場としての強みもある。
印刷の工程の中で、印刷会社は出版社からデータをもらってくるわけですから、そのデータを生かせる形になっていますよね」(某広告代理店)。
このように凸版印刷が強くなったのは、コンテンツプロバイダー↓流通業者の間に入る「卸売業者」にやはり意義があったからである。
流通業者というのはインターネット販売の場合、プロバイダーである。
すると、日本の現状を見ると、大手のニフティ、ビッグローブ、ソネットの「ビッグ3」で七〇〇万人の会員があり、日本のインターネット人口の約半分以上を占めている。
そこで、プロバイダーの上位一〇社を「押さえる」という形で「Bitway」がスタートしたのである。
プロバイダーの上位一〇社の「窓口」としての魅力は、ユーザーの集客力である。
クリエイターやコンテンツプロバイダー(出版社など)は、たとえば自分の作品を自社のホームページで売ろうとしても、どうやって認知させるかが問題である。
プロモーションもむずかしく、でも集客できなければ売れない。
そこで、よい方法は、ニフティ、ビッグローブ、ソネットなどのプロバイダーのホームページにリンクを貼る、というより、コンテンツの一部として露出することである。
「B・ltway」はその点で出版社にメリットを提供できるのだ。
逆に、プロバイダー側から見ても、出版社のコンテンツは優良なものに映る。
「B・ltway」は、出版社と関わりが深い凸版印刷の事業だけに、プロバイダーも欲しいコンテンツが手に入る可能性がある。
双方のメリットを仲介しているわけである。
コンテンツ流通の本質は、仲介業であることは冒頭の話でも触れた。
もう一つのプロバイダーの魅力は、流通・販売業者としてのものだ。
ユーザーが、より簡単な課金システムで情報を買えれば便利である。
実際、課金もプロバイダー任せにしてしまえば、ユーザーも楽である。
しかも、その先には、すでに二〇〇〇年には1000万人近いといわれるユーザーたちがいる。
今度は有料コンテンツの企業の方々に、こういうしくみができました、と呼びかけたら、反応が凄かった、というわけだ。
実際、効果は非常に大きかった。
あるオンライン系グラビアマガジンは、一四〇名という会員数にとどまっていた。
それが、「B・ltway」にコンテンツを流通させ、プロバイダーを通じて販促・販売するようになると、会員数は約一四〇〇名になった。
一〇倍の伸びである。
「こういった流通業そのもののスタイルも、多分、凸版印刷というポジションだからできたのではないでしょうか。
印刷は、いい意味でいえばニュートラルだったからでしょう。
会社の派閥にもとらわれませんし。
ですから、松下電器産業の[H・1‐H悪にもソニーのソネットにも同じコンテンツを流せるのです]クリエイター↓コンテンツプロバイダー↓流通業者というコンテンツビジネスの流れの中で、初期はどの企業も、すべて自分たちでやろうとした。
それだけ収入が大きいからだ。
しかし、実際は何度も述べているように、コストと人材面から、すべてを負うことは不可能だ。
しかも、不況の中で競争が厳しくなっている。
各社がむしろ自社の強みを追求していくことは間違いない。
出版社であれば、「著者と関係が深い」からこそ、ソネットやニフティなどの流通業者が呼びかけにくる。
あるいは、これまでストックしてきたコンテンツの財産がある。
これが分業化である凸版印刷の「B・ltway」は、そうした分業化の中で、新しい役割を見つけたわけだ。
コンテンツ流通の中では、技術の革新などにより、今後も新しい役割を担う業者が現れるだろう。
たとえば、今後注目されるのが、携帯電話向けのコンテンツ配信に関わる業者だ。
京セラコミュニケーションシステムなどは、インターネットでデジタルクリエイターのイラストや写真、アニメーションを集めてダウンロード販売を目指す事業者からも信頼を得て、データの管理や販売を任されるようになった。
それは、同社がインターネット向けのコンテンツを携帯電話用に変換する技術を持っているからである。
目利きが信頼されていく世界「Bitway」の役割は、実は単に卸売りにとどまらない。
コンテンツそのものをどうすれば売れるようにするか、というコンテンツプロデューサー的な役割を果たしている。
それは、多くのプロバイダーと、多くの出版社と付き合うことで、多くの情報を持っているからだ。
そういう意味では、まさに「目利き」であり、売りたいユーザーから欲しいユーザーへ、の世界である。
「ただ、この世界も売れ筋によって当然、マージンも変わってくるんですね。
グラビア系、ウェブマガジン系である写真家のコンテンツを販売させていただいていますが、二〇代、三〇代の独身男性が買いたくなる、アイドル系の女性アイテムを持ってきていただけるんですよ。
そうするとかなり費用がかかってくる。
われわれとしても看板商品ですし。
そういったコンテンツと、無名の作家のコンテンツでは、多分違いが出てきてしまうでしょうね」しかし、それは流通業者のプロバイダーのニーズでもある。
プロバイダーが欲しそうなニーズは、高いお金を出しても買うのが鉄則である。
必要なのは、何かニーズなのかを見分けることであり、それも「目利き」の仕事なのである。
ユーザーのニーズを探るのも「目利き」の仕事だ。
凸版印刷にはコンテンツのID番号が登録され、コンテンツの購入履歴がわかるようになっている。
購入時問、購入した商品、見に来た回数が残る。
すると、三ヵ月連続で買っているリピーターユーザーが七割いることがわかった。
九九年の四月では、「B・ltway」が提供するウェブマガジン系のコンテンツは四本だった。
しかし、二〇〇〇年では一五本になっている。
法則9‥一般向けの値段は三〇〇〜五〇〇円程度が平均さて、コンテンツビジネスの大原則として、「値段」が決めにくいということがあった。


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